カガリユウスケが「迷宮」で伝えたいこと

カガリユウスケが「迷宮」で伝えたいこと

By 田中 智之 投稿日: / 最終更新日:

明日9月14日(土) - 9月29日(日)の期間、BONITA店頭にてカガリユウスケの新作巡回展を開催いたします。

オンラインでは既にLOOK BOOKを用意しており、明日からは各アイテムの詳細もご覧いただけます。ぜひお楽しみください。

今回のコレクションテーマは「迷宮を持ち歩く」

迷宮図をオマージュした図案をレリーフ状にパッチワークしたアイテムが中心です。

さて、率直な意見を述べると

「あれ?なんか違うな」
「ちょっと思ってたのと違う」

などなど、今回のヴィジュアルで多少戸惑った方も少なくないと感じています。これまでのカガリユウスケの無機質な壁のイメージが強いほど、異質な方向であることは否めません。

ただ、作家・明松佑介の人となりを知っていると

「なるほど〜明松さんらしいや!」
「ってか明松100%中の100%だ!」
「ただただ明松佑介じゃん。笑」

と感じます。

ちょっとコンセプチュアルな側面が強いので、BONITAなりの解釈・フィルターを通して、少しわかりやすく伝えられたらと思って書いています。


結論から言うと、

カガリユウスケのカバンが、
財布や革小物たちが、
ちょっとでも誰かの日々を救う
お守りのような存在であれたら... 

そう願い、毎日作り続けている。

ということです。

お守りというものを掘り下げていくうちに「迷宮」に辿り着いた。
その迷宮を作品に落とし込んだ。
どうして作り続けているのか?その答えを具現化した。

ということです。


迷宮を持ち歩く
KAGARI YUSUKE 2024 COLLECTION

人はその身の奥深くに個別で秘密の迷宮を持っている。
何十億と存在するその迷宮は身の内に広がる空間にポツンと浮かびそびえ立ち、共有と孤独の点滅を繰り返している。
そしてまたある時は完全に見失われる。
私はこの個別の迷宮の門番でありたいと願っている。
その為に壁を作り続けるのだ。

人は、生きていく上で必ずしも何かにつまずき、悩み、傷つき、自問自答します。

「自分は何がしたいんだろう?」
「自分は何のために生きているんだろう?」
「誰かの役に立っているんだろうか?」
「生きている意味はあるんだろうか?」

答えが見つかる場合もあるし、見つからない場合もある。
誰かに打ち明けることができて、少し楽になることもある。

でも、いつかまた同じ自問自答を繰り返す...

結局のところ、自分にしかわからない、自分で答えを見つけるしかない秘密の迷宮です。人の数だけこの迷宮が存在します。

ここで迷宮の登場です。

実は、迷宮は迷路とは違います。
迷路はスタートがあって、途中行き止まりに当たりながらも引き返して、ゴールを目指します。

迷宮は、一番奥深くまで迷うことのない一本道。ただ、果てしなく長い。そして、一番奥深くまで辿り着いたら元の場所まで戻ってくる。生まれ変わった自分になって。

自問自答し、自己の中に深く降りてゆき、その底で自分自身と向き合い、答えを見つけて、また新しい現実へ向かっていく...

神話の時代から人は、その物語の大切さを伝える儀式図として迷宮を描いていました。

この迷宮があれば、もう迷わない。
もしまた迷っても、成長した自分になって帰ってこられる。
迷宮とは、お守りのような存在だ。

だから、カガリユウスケは迷宮を作品に落とし込んだ。

カガリユウスケのカバンが、
財布や革小物たちが、
ちょっとでも誰かの日々を救う
お守りのような存在であれたら...

 ということです。

カガリユウスケ2024コレクションをご覧いただく上で、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

KAGARI YUSUKE 2024 COLLECTION
迷宮と私

(中略)

ファッションが好きで本当に良かったと心から思う。もしかしたら私が作ることで誰かの日々を救っているかもしれない。そうあってくれたら、と願っている。

私は私である。これほどに自明なことはない。しかし私たちは面白いぐらいにすぐにこれを見失う。これからの時代においてファッションとは、自己を見失わないための装置/儀式として重要になってくるだろう。そして迷宮図とは自己の中に深く降りてゆき、その底で自己の総体と向き合い、何かを得て帰還し、また新しい現実へ向かっていく物語の大切さを説く儀式図である。迷宮図。それは自己を庇護するためのお守りのような存在だと私は考えている。

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